Special Interview
5月27日に「SADISTIC FURAAMAN」と「ENDLESS SUMMER」を2曲同時リリースするSugLawd Familiar。自分たち最大のヒット曲「Longiness」と真正面から向き合い、今届けるべき熱量を注ぎ込んだ「SADISTIC FURAAMAN」。そして、夏への憧れや開放感を描いたサマーアンセム「ENDLESS SUMMER」。対照的な表情を持つ2曲の制作背景、さらに来年1月の初ワンマンに懸ける思いを5人に聞いた。

SugLawd Familiar 新曲インタビュー
「Longiness」の呪縛からの解放と、フラーな享楽の現在地
ーーまずは「SADISTIC FURAAMAN」について聞かせてください。聴いて最初に思い浮かんだのが「Longiness」でした。この曲は、どんな発想から作り始めたんですか?
OHZKEY:最初に僕がベースになるビートを作ったんです。「Longiness」を思い浮かべてもらえたのはめっちゃ嬉しくて。実際、「Longiness」をもう一度、自分たちなりに再現しようとしたところがあるんです。
ーーあえて狙いに行ったということ?
OHZKEY:そうです。「Longiness」はタイプビートで作った曲だから、あの独特なグルーヴはどうやって生まれているんだろうって紐解いてみたんです。裏打ちのビートなのに疾走感があるとか、マイナーキーなのに明るさもあるとか、そういう要素をArt'Teckyxと一緒にひとつひとつ分解していって。「Longiness」はツーコードなんですけど、それを踏襲すると「Longiness」の偽物みたいになっちゃうという壁にブチ当たって。じゃあ、スリーコードにしようということで、今回のトラックができたんです。
ーーそもそも、なぜ、自分たち最大のヒット曲である「Longiness」と向き合おうと思ったんですか?
OHZKEY:これはちょっと逃げてきた問題というか。これがなぜヒットしたのかわからないまま今に至っている気もしていて。紐解くことで音楽的にちゃんと理解が深まって、自分たちが成長するんじゃないかと思ったんです。
ーー今回の曲は、「Longiness」の続編という意識ですか? セルフサンプリングでもないし、オマージュでもないし。
OHZKEY:ちょっと大人になった感じじゃないですか(笑)。大人版「Longiness」。「ちょっと優しくなりました、僕たち」みたいなところもあるかなって。
ーーOHZKEYから、ある意味自分たちが避けてきたテーマに、もう一度向き合おうと提案されたとき、率直にどう思いましたか?
Vanity.K:最初の「Longiness」は俺とOHZKEYだけの曲でした。みんな音楽的にも成長して、考え方も変わってきた中で、MC4人で「Longiness」のリバイバル的なビートをやるのは面白いなと思ったんです。俺はこういうビートでもう一回やりたかったし、二つ返事で、いいねって。
XF MENEW:ビートを聴いて、やらない理由はないなと思いました。今回の歌詞にも落とし込んでいるんですけど、曲を作るときに漠然とした懐疑心がずっとあって。このままでいいのか、あの頃の初心を取り戻したほうがいいのか、みたいな。ビートを聴いたときに、それを歌うしかないなと思ったし、大人になったなっていう感覚はありました。
ーーOichiはどうですか?
Oichi:俺もビートを聴いたときにエモくなっちゃって。めっちゃいいやんって(笑)。OHZKEYがひとつ前に作ったビートだと、なんかしっくりこなかったんですよね。その夜、OHZKEYが改めて「Longiness」のビートを紐解いて、作り直してくれて。次の日集まったらこのビートができていて、くそヤバって。
Caster Mild:このビートを最初に聴いたとき、これにみんながどうアプローチしてくるんだろうって。「Longiness」をどうリバイバルするんだろうっていう楽しみがありましたね。
ーーメンバーにトラックを聴かせた段階で、OHZKEYから歌詞のテーマも出したんですか?
OHZKEY:出しました。ただ、ビートを紐解くことに没頭してたから、あんまり覚えてなくて(笑)。
XF MENEW:そもそもの話をすると、最近、俺ら、熱量が失われているなって感じていて。音楽を続けていく中でテクニックは身につくんですけど、機械的というか、ストレートな思いを書くのが難しくなっていて。
ーーそれはメジャーになってから?
XF MENEW:それより少し前からですけど、スキル重視というか。それで言いたいことが言えなくなっていて。俺らみんなが大好きで大事にしている曲があって、SoundCloudにOichiとOHZKEYで作った「Oh oh」って曲があるんですよ。俺、それがめっちゃ好きで。いつ聴いても初心に帰れるし、胸を打たれるんです。そういう曲を作りたいっていう話は俺からもOHZKEYに提案してたんですよ。
OHZKEY:そうだ。これ、熱量がめっちゃ重要な軸にあったんです。今の世の中を見ていると、冷笑文化っていうか、頑張っている人をあざ笑うような傾向があるように思えて。熱量がないほうがかっこいい、みたいな風潮を感じてたんですね。で、最初は、そういう人に向けて、「いや、熱量があるほうがかっこいいでしょ」って言おうとしたんですけど、なかなか進まなくて。というのも、テーマが重すぎて逃げ腰になっちゃったり、メンバーがバラバラにリリックを書いたりしてたんですね。そこで、一回集まって、僕が「むしろ熱量がないのは俺らなんじゃない?」って話をしたんです。じゃあ、自分たちと向き合って、自分自身に向けて書こうって。そしたら、みんなのフィーリングがガッとまとまって、サーッと書けていったんです。
――今回の曲ではVanity.Kがひとりでフックを歌っています。メジャーデビュー以降、初の試みですが、そうした構成にしたのは「Longiness」を意識したからですか?
OHZKEY:そうです。「俺がフックを歌った曲を作りたい」って、この曲に取りかかる前からVanity.Kが言ってて。
Vanity.K:パワーのある歌い方が得意だと思っていて。そもそもレゲエのこういうビートは自信もあったんで、俺に任せてくれって。ヴァースはみんなに任せて、フックは歌メロで俺がまとめるっていう構成は最初から頭の中にありました。
ーーヴァースでは、自分に向けた言葉を3人共書いていますが、切り口や角度がきれいに移り変わっていく見事なリレーになっています。お互いのリリックにも意見を出し合ったんですか?
XF MENEW:ありましたね。俺はこのヴァースを何度も書き直してるんですけど、OHZKEYから「ちょっと攻撃的すぎる」と言われて。曲のテーマにそぐわないじゃないけど、伝えたいことが違うかなって。自分に向けてはいるんだけど、聴く人が共感できるように、言葉をもう少しやさしくしてほしいって。
Oichi:最初ブチ切れてたもんね(笑)。
XF MENEW:最初はめっちゃイライラしたんですよ。何回も書き直せって言われるもんで(笑)。俺のリリックを書く原動力は負の感情なんですよ。それが強く出すぎる自覚はあるし、それを抑えてほしいっていうのは普段から言われるんです。今回、ボツにしたリリックは余計にそうだったんですけど、スキル重視な部分が出ちゃって。「ちょっとAIっぽい」と言われて、あんまり計算高くやらないでくれって。
OHZKEY:言い回しや言葉遣いが機械的だなって思ったんです。だから、もっと人間味があるほうがいいよって。負の感情が乗りすぎて、重く聞こえちゃったりとか。そこに着地してほしくなかったんで、最終的には光が差す感じにしてほしい、みたいな話はしましたね。
XF MENEW:それは録るときの声色もそうで。最初はわりと攻撃的に歌ってたんです。だけど、「もっと楽しく歌ってほしい」って言われて、そっち方向の声色を意識しました。結果的にいいヴァースができたんでよかったです。
ーーOHZKEYは、ヴァースをどんな思いで書いたんですか?
OHZKEY:最初は小言や愚痴みたいな内容になっていて。でも、今の自分たちは逃げも隠れもできない状況にいるし、自分を鼓舞するためのリリックにしたかったんです。活動を続けるなかで物事への向き合い方に慣れてきて、音楽を始めた頃やメジャーデビューの話をもらったときの喜びや希望を忘れそうになっているなと思って。そういう自分に「ダサいよ」ってちゃんと言ってあげる曲にしたかった。初期衝動をみんなにも忘れてほしくないし、俺が一番忘れちゃいけないなと思って書きました。
ーーXF MENEWの歌詞は“疑い続ける自分自身に問いたい”という1行から始まります。
XF MENEW:何回も書き直す中で、自分をめっちゃ疑ってたんですよ。俺の何がいけないんだろうって。OHZKEYにAIみたいだって言われるまでは、その自覚が持てなくて。ラップに対して熱量はあるんだけど、何を一番に伝えたいかとか、そういう部分をないがしろにして、ただスキルを重視して突っ走ってたなって。そういう自分にムカついて、自分を俯瞰して書いたんです。俺は本当に疑い深くて、自分自身もそうだし、家族も仲間も疑ってしまう。そういう自分が本当に嫌いだし、生きづらくて。
ーーでも、家族や仲間などを守りたいんですよね。リリックはそういう内容になっている。
XF MENEW:そうなんです。嫌いになれないし、愛するがゆえに疑ってしまう。だから、お前マジしっかりしてくれよ!って気持ちで書いたんです。みんなが与えてくれたものを忘れんなよ! 無責任に疑ってんじゃねえ、カス野郎!っていう(笑)。もういいから愛せよって。どの道、ちゃんといい方向へ転ぶんだから、自信持てよって。
――OHZKEYは自分に対する苛つきを攻撃的な口調で書いているけど、続くXF MENEWは守るものべきものがあるから戦うんだというふうに、“攻守”が切り替わる。その展開が秀逸でした。
XF MENEW:それも書き直す理由のひとつになっていて。俺はリリックの言葉遣いが命令形になることが多くて。「何々しろよ」とか。それだと強い感じになるし、そこも気をつけて書いたんです。
――最後のOichiのパートは曲に余韻を与えるような役割にもなっていますが、どのように書いていったんですか?
Oichi:俺のヴァースは、曲の全部を集大成した内容になっていると思うんです。フックも2人のヴァースも全部まとめるというか。この曲は空気感がめっちゃ良くて、俺はこの曲に閉じ込めた感覚を聴いてほしかったんです。だから、俺は思ったまんまを歌詞にしました。俺らは全員赤ん坊から始まって、何にでもなれるわけじゃないですか。どの道に行っても、正解か不正解かなんて決められないし、決めてかかるのはどうでもよくね?みたいな。それがアホなりの美学だと思ってるんですよ。
ーーOichiのリリックは、SugLawd Familiarの在り方を静かに肯定する内容になっていて。《僕らは自由で特別》というラインからも、自分たちのスタンスを迷いなく示している感じがあって、逆に強さや自信が出ているように思いました。
Oichi:ありがとうございます。始まりの2行は特に俺らを表していると思いますね。
ーーフックはどのように作っていったんですか?
Vanity.K:ビートができあがったときに、俺とOHZKEYとArt’Teckyxで、まずフロウを出し合って、フックの方向性を決めていったんです。レコーディングでは、心の叫びがありつつ、楽しく音楽をやってる感じを出したいということで、がなる声と普段の声を重ねてみたりして。いろいろ試行錯誤してやっとできたという感じですね。
――フックの歌詞はVanity.Kが書いたんですか?
Vanity.K:これはみんなで考えて書きました。MENEWが持ってきたり、俺がアイデアを出したり、いろいろな言葉を何パターンも組み合わせていって。こんなにフックで試行錯誤したのは初めてなんじゃないかっていうくらい書き直しました。
OHZKEY:だから、フックのレコーディングは最後だったもんね。
Vanity.K:でも内容は、制作の始まりから終わりまでずっと考えてたよね。
XF MENEW:フックはCaster Mildも考えてくれてましたから。
Caster Mild:「エナジー」っていう言葉を使ってほしかったんですよ。何度かエナジーじゃない言葉に変えたりしてたんですけど、OHZKEYに「エナジーはもう連呼するくらい、フックのメインとして使ってくれ」って伝えて。
Vanity.K:いろいろあったんです。エナジーじゃなくて、シナジーとか。
OHZKEY:ガソリンもあったよね(笑)。
Vanity.K:でも、最終的にCaster Mildが言った「エナジーで」っていう一言で落ち着いたというか。それでみんな腑に落ちたところがありますね。
ーーフックの《震える足で進むのさ俺達》というラインの、“震える足”という表現が見事だと思いました。
Vanity.K:その言葉はOHZKEYが出したんです。
――不安だし、ビビってるけど前に進むんだっていう覚悟が伝わってくるなって。
OHZKEY:まさにその通りで、“震える足”は、今の俺らの状況を表してるんです。
XF MENEW:あと、武者震いの“震える”も入ってるんですよ。怖さの震えと武者震い、その両方を重ねていて。でも、俺は最後の最後までそれをずっと否定してたんです。なんなら一番嫌いだったかもしれない(笑)。でも今、そうやって言われると救われたというか。最近ライブで歌っててもめっちゃ響くんですよ。だから、やっぱり信じていればいい。というか、信じろよって感じですよ、本当に(笑)。
――タイトルの「FURAAMAN」とは、どういう意味なんですか?
Vanity.K:沖縄の方言で「フラー」はアホという意味なんです。フラーな男たち、ということで「FURAAMAN」です。
Oichi:ノリとしては関西弁のアホに近いですね。誰かが何かやらかしたときに「何やってんだよ(笑)」みたいな感じで使う言葉です。
――自分たちをアホと自嘲するニュアンスも出したかったんですか?
OHZKEY:まずは語感ですね。「サディスティックフラーマン」という言葉のリズムが好きで。でも、外に対して「なんだこいつ」と思う気持ちもあるし、自分たちに対して「俺たちは愚かです」と言っている部分もある。愚かだからこそ、それを埋めるために芸術をしているというか、音楽はそういうものでもあると思うんです。だから、自嘲と自負の両方を込めたんです。
――5th Singleとなる「ENDELESS SUMMER」は、Vanity.Kのソロ曲として3年前にデモを作っていた曲だそうですね。
OHZKEY:「SADISTIC FURAAMAN」と同時進行で作っていたんですけど、5枚目のシングルについてはかっちりしたコンセプトがない状態で。どうしようか?と話していた中で、Vanity.Kがこのデモをみんなに聴かせたのが最初です。
Vanity.K:もともとOHZKEYとXF MENEWのヴァースは入っていたし、夏の曲としてめっちゃ気に入ってたんです。リリックに“夏”とか“海”とか“ビーチ”とか、そういう単語をがっつり入れてる夏の曲はこれまでに出してないし、俺としてはやっと出せる嬉しさがありました。
――シリアスな「SADISTIC FURAAMAN」と対照的な曲を出したいという気持ちもあったんですか?
Vanity.K:その通りですね。「SADISTIC FURAAMAN」とのギャップが欲しかった。
Caster Mild:5枚目は明るくてもいいんじゃないかって話していて。リリースの時期的にも夏だから、めちゃくちゃいいと思って。
OHZKEY:僕ら的には真逆の曲ですから。真逆のものをやるっていうのが面白いかなと。
Oichi:俺らの曲、わりと重いんですよ(笑)。お腹いっぱいになるから、こういう曲も欲しいよねって。ちょうどいいデモがあったし、作るのもめっちゃ楽しかったです。
ーートラックはArt'Teckyxがブラッシュアップしたんですか?
Vanity.K:トラックは打ち直しました。ガラッと変えてますね。OHZKEYとXF MENEWのリリックはほぼ変わってないです。
ーートラックはどんな方向性をめざしたんですか?
Vanity.K:夏の曲なんですけど、どこか切なさもあるという感じにしたくて。
OHZKEY:あと、とにかく90年代のネタを盛り盛りにして、“とにかくパーティー!”みたいな。こっちの方がフラーマンなんじゃないか(笑)っていう方向に持っていきました。
――シティポップやディスコファンクの要素も感じますが、リファレンスにしたのは90年代ヒップホップなんですか?
Vanity.K:ファンクの要素はもともとのデモのときからあって。
OHZKEY:90年代のヒップホップって曲とは関係ないような声ネタとかSEがちりばめられているじゃないですか。特にネイティブタン一派はカラフルなSEや上ものが多いから、そういうアプローチで作ってみようと。90年代のサウンドプロダクションの自由さを踏襲したかったんです。
――「SADISTIC FURAAMAN」同様、この曲もVanity.Kがフックを担当していますが、どんなイメージで作ったんですか?
Vanity.K:歌を低体温にしたかったというか(笑)。作った当時、Yo-Seaさんみたいな歌い方がいいなと思っていて、これがヌルッと出てきたんです。メロディーはちょっとポップすぎるかなと思っていたんですけど、みんなに聴かせたら「いいね」って。リリックは俺が海のそばに住んでるから出た言葉だと思います。《思い出せないから向かうんだSea Side》はまさにそうで、悩んだときにはまず海に行くし。《ドラマティックとか求めてる夏の一時》も、夏に期待してる思春期ヴァイブスで書いたんです。
ーーOHZKEYの歌詞は、夏の高揚感や開放感を描いています。
OHZKEY:沖縄のバーベキューとかビーチの情景を描いていて。《服着たまま泳ぐ展開》は、バーベキューしてて、そのままノリで海に入っちゃうみたいな。沖縄の人は、ほぼ服を着て海に入るんですよ。
ーー《みんなでカリー》のカリーとは?
OHZKEY:沖縄の方言で乾杯って意味です。沖縄では普通に使う言葉で、お酒のCMでもカリーって言うぐらい。
ーー一方、XF MENEWは、夏のチルさやノスタルジー、センチメンタルな情感を描いていて、「SADISTIC FURAAMAN」同様、OHZKEYと対照的になっている。
XF MENEW:Oichiがリリックで《言葉じゃないfeeling》と言ってるけど、この曲は聞き流していてもフィーリングがわかる曲調じゃないですか。だから、夏の1日をイメージして、俺たちに流れている沖縄のヴァイブスを書いた感じですね。
ーーOichiは、この曲でも最後を締めるヴァースになっています。
Oichi:俺以外のところはもともとできていたわけだから、そこに挑むのはまさにゴルフの9番ホールの心境じゃないですか(笑)。みんなのリリックがいいなと思っていたから、ここで一発で決めなきゃっていう。で、“9番ホール”と来たら“四暗刻”で絶対踏みたくて。あとはもう夏のフィーリングを書いていこうと。
――四暗刻もツモれば役満ですからね。OHZKEYが夏の開放感、XF MENEWが夏のノスタルジーと来て、Oichiは夏の一発大逆転みたいな印象を受けました(笑)。
Oichi:もうそれっすね(笑)。マジでリリックの内容は話し合ってないんですけど、結局つながることが多いんですよね、俺ら。
XF MENEW:お前はやっぱりまとめるのがうまいわ(笑)。
OHZKEY:でも、これはフック、僕、XF MENEWという曲通りの順番で書いて渡して行ったんです。だからリレー方式ではあるんですよね。4コマ漫画を1人ずつ描いていくみたいな。そうやって書いたから、みんな、前の人のリリックを汲み取ってくれたんだと思います。
――あと、この曲ではCaster Mildがスクラッチで参加してるんですよね。
Caster Mild:そうです。クラブに行く人やDJをしている人だったら懐かしいって思える声ネタを使っていて。その懐かしさが、曲全体のキャッチーさや親しみやすさにつながるんじゃないかと思ったんです。
XF MENEW:音源にCaster Mild印が刻まれたことは嬉しいですね。
Vanity.K:これまでCaster Mildのコスリが曲に入ることはなかったからね。
OHZKEY:Caster Mildは表に出ない功績がめっちゃあって、僕らももどかしいんですよ。今回、それを作品として残せたことが嬉しいし、MVにもコスリのシーンがあるので、そこも注目してほしいです。
ーージャケットのアートワークの話をすると、4th Sg「SADISTIC FURAAMAN」には“H”の文字、5th Sg「ENDLESS SUMMER」には”E”の文字があしらわれています。1枚目から順に並べると“ANTHE”となりますが、この先はどう展開していくですか?
OHZKEY:次はいよいよアルバムですね。そのパズルはアルバムで完成するんです。文字の中にある絵を並べるとアルバムのジャケになるんです。
Oichi:今回、ジャケに海坊主みたいなのが現れたからね(笑)。
ーー今までで一番具体的なものが描かれているんだけど、なんだかわからない(笑)。
Oichi:そうですね。なんだかわからない(笑)。
ーーこのキャラクターは何なんですか?
OHZKEY:このキャラクターは、まだ内緒でお願いします(笑)。
ーーアルバムはどんな内容になりそうですか?
Oichi:1日の時間の流れをシチュエーション別に追ってるような感じになっていて。朝から始まって次の日の朝で終わるようなコンセプトで作ってます。
OHZKEY:あとは享楽主義がテーマにあって。楽しけりゃいいじゃんっていう。「楽しいが正義でしょ」みたいなバイブスで作ってますね。
Caster Mild:アルバムには、今の僕らのやりたいことが詰まってますね。今までに挑戦してないジャンルもあるし、4人のラップの乗せ方もトラックも、現時点のベストになっていると思います。
Oichi:あと、Caster Mildの神スキットが入ってます。そのスキットがもうめっちゃ好き。
Caster Mild:声で僕が参加するっていう。そもそもマイクの前に立ったことがないし、声録りは初体験でしたけど、DJの声が聴けるっていう面白さもあるかなと(笑)。
Vanity.K:メジャーデビューして、俺らの力と俺らの行動力だけでは絶対にできないアルバムができたんで。待ってくれてる人たちが驚くようなアルバムになってると思います。
OHZKEY:夏真っ盛りな頃にアルバムをお聴かせできると思うので楽しみにしていてください。
ーーさらにその先、来年1月9日には初めてのワンマンライブ「FURAAMAN ANTHEM」がZepp DiverCity (TOKYO)で開催されます。今、どんな気持ちですか?
Vanity.K:クルーを組んで7年目になるんですよ。その集大成を見せたい気持ちもありつつ、ワンマンは初めてだから僕の中では挑戦ですね。
Caster Mild:最初にワンマンが決まったと聞いたときは恐怖で震える感じでした。いきなりワンマンだっていう怖さが先立つ感じ。今はそれこそ、ワンマンに向けて震える足で進んでます。
[Oichi:]もうやることに決まったわけだから、それだけっすね。そこしか見てないっていうか。ひとつのケジメみたいなところもあるし、これを機に普通にワンマンをやれるようになりたい。そのために絶対経験すべき挑戦だと思ってます。
XF MENEW:今回のワンマンは、俺が今音楽をやれてる理由になっている周りの人たちへの恩返しですね。もちろんゴールでもあり、スタートでもあって。一瞬でも「音楽を信じてきてよかった」と思える理由を作りに行くというか、そんなライブにしたいですね。
ーーOHZKEYはどんな思いですか?
OHZKEY:Zeppがパンパンになるか、現状まだわからないです。正直、怖くてビビってるところもあるんですけど、でもやるしかない。だからフラーマンなりに、マジでイチから頑張ります。なので、応援してくださいって感じです。沖縄の先輩のCHOUJIさんの言葉に「曲が売れないんじゃなくて、売ってないだけだろ」っていうのがあって。その通りだなと僕は思うんです。僕らは泥水もすするし、とにかくやるしかない。僕が目指しているのはZepp DiverCityでの熱狂。それだけです。それを僕はみんなと一緒に作り上げたい。
ーーワンマンをやったことがないわけだから、熱狂している会場の光景なんて具体的に浮かばないしね。
OHZKEY:そうなんですよ。だから、これからそれを輪郭からどんどん形作っていく作業になると思ってます。
Oichi:最近、青山faiでやってるイベントが、その一歩目になるのかなって思うし。
ーー5月9日に都内で2回目となる主催イベント「GOODIE BAG」を開きましたが、今後どんなペースでやっていきたいと考えているんですか?
Oichi:隔月で都内でやって、空いてる方の月は沖縄でやっていきたくて。
OHZKEY:沖縄はまだ決まってないんですけど、テレコでやっていきたいんですよ。都内で隔月、沖縄で隔月にして、ひと月ずつ交互にやっていくのが理想。
ーーワンマンへの足がかりとして、まずはそのイベントをパンパンにしていかないとね。
Oichi:5月に都内でやったときは、「めっちゃ楽しい」とか「ワンマンのチケット買った」って言ってくれる人がいて、めっちゃ励みになったし、ちゃんと俺ら前に進んでるんだなって実感できて。そのぶん気も引き締まるし、遊び場ではあるけど、今後に向けたトライができる場にもしていきたいなって。
――リリース前の曲もイベントで披露したり。
OHZKEY:この間も「SADISTIC FURAAMAN」をやりましたから。だからまずはfaiに来ていただいて、ワンマンの前に一度、僕らを体感してほしい。
――ワンマンまで残り半年ちょっと、グループとしてどんなことに注力していきたいですか?
OHZKEY:俺はもっと人を大事にしたい。今聴いてくれてる人や会いに来てくれる人、一人ひとりをちゃんと大事にして、その人たちに面白いもの、最高のものを届けたいです。
XF MENEW:信じる力と楽しむ力。最終的には愛ですね。自分への愛も、人への愛も、音楽への愛も忘れないようにしたい。
Oichi:周りの人への感謝を忘れずに、5人で同じ方向を向いて、同じ熱量を注ぎ続けることですね。本当の意味でそれができれば、ワンマンも余裕だと思うんで。
ーーここからフェスやイベントへの出演数も増えていきそうですか?
OHZKEY:増えてくると思います。すでに決まっているものもあって、名古屋で開催されるサーキット型のイベント「SAKAE SP-RING 2026」の6月7日に出ます。
Vanity.K:もっともっと出ていきたいんですね。前座でも何でもやりますって気持ち。ライブをどんどんやって、自分たちを鍛えていきたいです。
インタビュー・文/猪又 孝
